アメリカという国は日本と違って「連邦制度」を取っており、それぞれの州は「国」のようなもので、それを連邦政府およびアメリカ大統領がまとめる形になっている。
アメリカ大統領の権力は絶大で、議会に対してはヴェトーと呼ばれる拒否権を持っているし、核兵器さえ使用することが可能である。
アメリカの政治はカリスマともいえるアメリカ大統領が引っ張る形となる訳なのだが、その出身州はかなり偏っている。
50以上も州があり、今までアメリカ大統領になったのは44人なので全部の州から大統領が出るということはあり得ないのだが、44人中半分に当たる22人はわずか4つの州の出身者に限られている。
という訳で今回はアメリカの歴代大統領の出身地をまとめてみた。
ちなみにアメリカはその成立過程から大きく北部と南部に分けられており、南部は以下のようにさらに南、西、東に分けられる。
The South Atlantic States: フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州、ウェストバージニア州 (ワシントンD.C.を含む)
The East South Central States: アラバマ州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、テネシー州
The West South Central States: アーカンソー州、ルイジアナ州、オクラホマ州、テキサス州
さらに西部と東部にも分られるのだけれど、アメリカの歴史においてはやはり北部と南部の分け方がキーになっていて、それはやっぱり「南北戦争」の存在が非常に大きくて、後でまた触れるのだけれど、南北戦争までは南部出身の大統領が圧倒的に多くて、リンカーンまでの16人の大統領のうち南部出身者は10人となっているのに対し南北戦争後は北部出身者が圧倒的に多くなっている。
これは南北戦争を境にアメリカの政治が大きく変わったことを指し示していて、特に南北戦争終了後から第二次世界大戦の開始辺りまではある州に集中しているのが見て取れる。
という訳で歴代アメリカ大統領の出身地をまとめてみた。
果たしてトップ5はどの州なのか?
ちなみに同率で並んだ場合は副大統領からの昇格がある州をより下位とした。
第21位:ネブラスカ州(1人)
ジェラルド・R・フォード
第21位:ミズーリ州(1人)
第33代ハリー・S・トルーマン
第8位:ジョージア州(1人)
ジミー・カーター
第8位:サウスカロライナ州(1人)
第17代アンドリュー・ジョンソン
第8位:ノースカロライナ州(1人)
第11代ジェームズ・ポーク
第8位:ペンシルバニア州(1人)
第15代ジェームズ・ブキャナン
第8位:ニューハンプシャー州(1人)
第14代フランクリン・ピアーズ
第8位:ケンタッキー州(1人)
第16代アブラハム・リンカーン
第8位:テネシー州(1人)
第7代アンドリュー・ジャクソン
第8位:アーカンソー州(1人)
ヴィル・クリントン
第8位:アイオワ州(1人)
ハーバート・フーヴァー
第8位:イリノイ州(1人)
第8位:コネチカット州(1人)
第43代ジョージ・W・ブッシュ
第8位:カルフォルニア州(1人)
第37代リチャード・ニクソン
第8位:ハワイ州(1人)
第44代バラク・フセイン・オバマ
第7位:バーモント州 2人
バーモント州は2人大統領を輩出しているにも関わらず2人とも副大統領からの昇任という珍しい州となっています。
第21代チェスター・アーサー
第30代カルヴィンクーリッジ
第6位:テキサス州 2人
第34代ドワイト・D・アイゼンハワー
第36代リンドン・ジョンソン
第5位:ニュージャージー州 2人
第8代マーティン・ヴァン・ビューレン
第22代、第24代クロバークリーブランド
第4位:ニューヨーク州 4人
第13代ミラード・フィルモア
セオドア・ルーズベルト(繰り上がり)
第31代フランクリン・ルーズベルト
第45代ドナルド・トランプ
第3位:マサチューセッツ州 4人
第2代ジョン・アダムズ
第6代ジョン・クインシー・アダムズ
第35代ジョン・F・ケネディ
第41代ジョージ・H・W・ブッシュ
第2位:オハイオ州 6人
第18代ユリシーズ・グラント
第19代ラザフォードヘイズ
第20代ジェームズ・ガーフィールド
第23代ベンジャミン・ハリスン
第25代ウィリアム・マッキンリー
第27代ウィリアム・タフト
第1位:ヴァージニア州 8人
初代ジョージワシントン
第3代トーマス・ジェファーソン
第4代ジェームズ・マディソン
第5代ジェームズ・モンロー
第9代ウィリアム・ハリスン
第10代ジョン・タイラー
第13代ザカリー・テイラー
第28代ウッドロー・ウィルソン
アメリカ歴代大統領出身地まとめ
という訳で複数大統領を輩出している州は以下のようになった。
7位:バーモント州 | 2人(0人) |
6位:テキサス州 | 2人(1人) |
5位:ニュージャージー州 | 2人(2人) |
4位:ニューヨーク州 | 4人(3人) |
3位:マサチューセッツ州 | 4人(4人) |
2位:オハイオ州 | 6人(6人) |
1位:ヴァージニア州 | 8人(8人) |
ヴァージニアがやはり圧倒的で、南北戦争までの16人の大統領の内半数近い7人がヴァージニア州の出身であった。
2位をあてられた人はどれくらいいるだろう?
南北戦争後の18代大統領ユリシーズグラントから第27代ウィリアム・タフトまでの8人の大統領の内6人が実にオハイオ州の出身で、もはやオハイオ閥があったと考えるべきであろう。
この時期は産業資本家との癒着が激しく、南北戦争後の北部の中心政党だった共和党出身者かつオハイオ州出身の大統領およびその取り巻きによってアメリカという国家は運用されていた。
それがゆえに汚職や腐敗も多かったが、産業が大いに発展し、一次大戦後には債務国から債権国になることに成功する。
マサチューセッツ州はジョン・アダムズ親子、ニューヨーク州はルーズベルト一族を出すなど名門家の流れがあり、ジョン・F・ケネディやジョージ・H・W・ブッシュなどもマサチューセッツ州出身である。
というようにどの州からアメリカ大統領が出現しているかというのは個人の資質以上にアメリカの社会が反映されていて非常に興味深いと思う。