航海史上最大の謎マリーセレスト号事件(メアリーセレスト号事件)の謎を俺が解くぜ!

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世界史において未解決の事件は多いが、その中でも最高クラスに謎が深い事件が「メアリーセレスト号事件」ではないだろうか?

 世界史上最大の謎メアリー・セレスト号事件

1872年12月4日イギリス船デイ・グラシア号はポルトガル沖に一隻の船を見つけた。

船は明らかに航海している様子はないが、目立った傷もなくただ単に漂流しているだけに見える。

グラシア号は船に近寄ってみるが反応はない。声をかけて見るが反応はない。

船員は恐る恐る中に入ってみるが船にいるべき乗員はどこにも見当たらなかった。

それなのにどういう訳かテーブルには朝食が用意されており全て作り立てでコーヒーはまだ暖かかった。

救命ボートは手つかずで食料や飲み物も豊富に残っている。争った形跡はどこにも見られない。

ただただ人だけが見当たらないのである。この船は11月7日にニューヨークから出航したメアリーセレスト号であるということが航海記録からはわかったが、船員がなぜいないかということについては何一つ詳しいことはわからない。

船長室には日記が残されていて、最新の日付である12月4日の日付で「妻のサラが」とまで書いている状態で途切れていた。

それはまるで東洋の伝承にある神隠しのようだったと後にグラシア号の船員たちは語る。

その後の捜索にも関わらず船員は誰1人見つかることはなかったのであった。

というのがメアリーセレスト号の伝説である。

俺が小さいころに伝え聞いたのはそんな感じの話だったが、上の文章にはいくつか尾ひれがついていて、実際にはいくつかの点が異なっている。

 まず作り立ての朝食の下りは完全に嘘らしい。話を面白くするための脚色だったと知った時にはそりゃあガッカリしたぜ。

実際に残っていた航海日誌によれば日付は11月24日で途切れていてどうやらその日に何かがあったらしい。

 ただ問題なのはその「何か」は事件後100年が経過した今でもわかっていないという点だ。

実は救命ボートも無くなっていて、こうなると救命ボートに乗って船を捨てたと考えるのが妥当だろうとは思うが、問題はどんな理由でそんなことをしたのかという点だ。

メアリーセレスト号はニューヨークを出てジェノヴァに向かったという記録は残っている。出発が11月7日だったのは確かでその2週間後に何かが起こったのだろう。

発見された時の船の様子はなぜか水浸しでポンプは1台を除いて使用不可能だが航海自体は可能な状態、食料と水は6か月分残っていた。掛け時計と方位磁針は壊れており、六分儀とクロノメーターは破壊された状態だった。3つの手すりには血痕が付着していて1つの手すりにはひっかき傷があったという。船の積み荷の中でアルコールを積んでいたはずの樽9つが空になっていたという。

航海日誌などによれば船に乗っていたのは船長であるベンジャミン・ブリッグズとその妻子、船員7名の計10人が乗っていたが船が見つかった時には誰も載っていなかった。

俺がもしエラリー・クインだったら「さぁ全てのヒントは出尽くした賢明なる読者君よ是非謎を解いてくれたまえ!」と言いたくなるような展開だ。

メアリーセレスト号のその後

 事件そのものとは別に船自体がどうなったかという話だが、船はそのままデイ・グラシア号の船員が航行しジブラルタルまで到着させた。ただしその行為が不正を疑われ船員は裁判にかけられることになる。

流石に有罪にはならず船と船の積み荷の15%が船員には分配されるに過ぎなかった。

 船そのものはその後さまざまな人物に所有されたが、最後の所有者は保険詐欺をするためにメアリーセレスト号をわざと座礁させて保険金を詐取しようとしたがバレて逮捕され、船そのものも廃棄されるという何とも言えない最後を迎えることとなった。

メアリー・セレスト号事件の真相

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結論から言うと結論は全て闇の中で、21世紀になった現在でもそのなぞは解明されていない。

だが事件発生より現在にいたるまであらゆる学者やあらゆるミステリーマニアたちがこの謎に挑み続けた結果いくつかの仮説が持ち上がっている。

船長の勘違いによる暴走説

現在の有力説が、船長ブリッグズがアルコールが樽から漏れているのを発見し、それが爆発すると思い込んで救命ボートに乗り込んだとする説だ。

更にこの説の派生で、気化したアルコールが爆発しそれに驚いたブリッグズ以下が救命ボートに乗り込んだとする説もある。

かなり無理があるが、なぜそんなことをするのかわからないようなことをするのが人間なので割と当たっているのかもしれない。でも船長であるブリッグズは当時37歳、経験豊富な船乗りが大西洋の真ん中で救命ボートに乗り込んだ挙句ミスで船とのロープを結ばないなんてことがあるだろうか?

内乱説

船員が何らかの理由で船長であるブリッグズを殺害し罪を逃れるために船を逃げ出したとする説。

ただしこれも大西洋上に救命ボードを漕ぎ出すという点に無理があるような気がする。そっちは完全に自殺行為だし、大人しく刑務所に入った方がよいぐらいだろう。

天災説・海賊説

地震や竜巻によるものなど天候による原因を探る説もたくさん出たがすべて無理がある。天候が不順になればなるほど船の中にいようとするものだろう。

海賊説もあるが、海賊だとするならば積荷や食料が残っているのはおかしい。

 

シャーロックホームズVSメアリーセレスト号事件

シャーロックホームズとメアリーセレスト号事件は完全に同世代である。

俺は世界史マニア以外にもミステリーマニアでもあって、シャーロックホームズの話は家に全巻あるし全話読んでるわけだが、ホームズはどうやらこの事件を解決しているらしい。

「シャーロックホームズの事件簿」にある「サセックスの吸血鬼」という話に「マティルダ・ブリッグズと言っても若い女性ではないよワトスン!」ホームズは古いことを追想しながら言った。「スマトラのおおねずみに関係のある船の話なんだ。この話はまだ世間には知れ渡ってはいないがね」という記述がある。

実は俺は今回の記事を書くのに「マリーセレスト号事件」と検索したのだが、出てきたのは「メアリーセレスト号事件」だった。多分記憶違いだと思ったが違うらしい。

シャーロック・ホームズの生みの親であるコナンドイルは「コーンヒル・マガジン」に匿名で「マリーセレスト号事件」についての投稿をしたらしい。朝食の下りや救命ボートなどの脚色をしたのは他ならぬコナンドイルだったという訳だ。

まったくもってやられたよという気分だ。

 それにしてもそういう脚色を世界中に広めてしまうあたりコナンドイルの手腕というのはすさまじいものがあると思うよ。匿名での投稿だったらしいのだが、やっぱりコナンドイルは偉大だった!

フォスダイク文書

メアリーセレスト号が発見されてから40年、アベル・フォスダイクという人物の文書が見つかった。フォスダイクは友人であるブリッグズに頼んでメアリーセレスト号に乗っていた。そこで見たものを記録に残していたのだという。

それによればフォスダイクはブリッグズの妻子に頼まれて特別に海が見えるようなデッキを作ったのだという。

ブリッグズはある日部下に人間は服を着たまま泳げるのかという疑問を投げかけた。ブリッグズが服を着たまま海に飛び込むと船員も海に飛び込んだが、気が付けば船員はサメに食べられてしまったのだという。

それを何事かと見に来た他の船員がデッキに載ると船長の妻子とともにデッキはそのまま海に落ちてしまったのだという。

まあかなり無理がある話である。実際問題10人もいた乗組員を全員食べられるようなサメはいない。そもそもサメは実際のところそのイメージと違って人間を食べることはめったにしないらしい。ある年の統計では全世界でサメに食べられた人数は1年でわずか3人だったという話も残っているぐらいなのでそんなにすぐに全滅するようなことはないようだ。

フォスダイクの話が本当だったとしてもクロノメーターなどが壊されていたことは説明できない。全く持って必然性がないからだ。

ぼくがかんがえたメアリーセレスト号事件の真相

 折角なんで世界史&ミステリーマニアの俺が事件の謎を解くぜ!

真相なんてもちろんわからないけれど、思いついたことをそのまま書いてみようかなと思う。

 まず、メアリーセレスト号から船員や船長が脱出した方法は無くなった救命ボートによるもので間違いないだろう。神隠しにでも会わない限り人は忽然と姿を消したりはしない。

次にクロノメーターや六分儀が壊れていたのは意図的なので明らかに「壊した」と考えるのが妥当であろう。方位磁針や時計も同様なのかそれらは浸水によって壊れたのかまではわからないが、それら航海に必要な装置を壊したというのは残った誰かに航海をさせないためだと思われる。それ以外でそれらを破壊すべき合理的な理由は見当たらない。

また、11月24日まで航海日誌がつけられているということはその時までは船を脱出しなければならない理由はなかったのだろう。

ただしここで注意しなければならないのは救命ボートが使われたのが11月25日であるとは限らないということだ。あるいは11月24日までの航海日誌が24日までにつけられていたとは限らない。船が出航した日あるいはそれ以前に書かれていた可能性だってある。

何のためにそんなことをしたのか?

それは11月24日まで船が航海していたように見せるためだ。

実際にはどこかの陸地に救命ボートで渡ったのではないかと思う。11月24日の段階で船はアゾレス諸島から100マイルほどのところにいたとあるので、あるいは航海記録は本物でどこかの島に渡り船を放棄したのかも知れない。

ではなぜそのようなことをしたのか?

「密輸」なんてどうだろう?

例えば盗品の密輸を行っていて、それを横取りしようという計画だったとしたら。

盗品でなくても構わない。高く売れるものはいくらでもある。もしかしたらそういった荷物の運搬をする契約をしていたのかも知れない。そしてそれを横取りしようとしたのかも知れない。

船長は大変立派な人物で乗組員の評判もすこぶる良かったらしいが、そういう人間が欲に目がくらむことはいくらでもある話だ。

少なくとも船長や船員が自主的に救命ボートに乗ったのは間違いないだろうし、海のプロフェッショナル達が陸も見えない状態でボートに乗るものとは思えない。

食料もあり、水も十分にある船の装置を壊して降りる理由にはそれ相応のものが必要になるだろう。

金塊みたいな高価な何かを持って船から降りたとするならば、個人的には納得がいくんだよなぁ。色々壊したのは追っ手が来るのを防ぐためとかそんなんだったらやっぱり納得はできなくても心理は理解できるような気がする。後は身を隠して楽しく暮らせばいいだけだ。

確かに船長たちの名誉は汚されるけれど、大西洋上で干からびて死んでしまったって話よりは人が死んでないだけ救いがある話なんだよなぁ。