シベリアンハスキーと聞いて、どんな犬かすぐに思い浮かぶ人は多いでしょう。かつて大ブームを巻き起こしたこともあり、日本でも有名な犬種です。
オオカミのようにかっこいい容姿をしていて、とても見栄えのする犬ですが、初心者には難しいと言われる一面も…。 今回はそんなシベリアンハスキーについてご紹介します。
シベリアンハスキーってどんな犬?
シベリアンハスキーは、シベリア北東部のチュクチ族が輸送手段として作出した犬種です。
冬はそり、夏はボートを引いていた他、猟犬として作業していたこともあるようです。 シベリアンハスキーは1800年代に誕生し、1909年に北アメリカに持ち込まれてからは犬ぞりレースで人気を博しました。
シベリアンハスキーの原産地はシベリアと表記されているものが殆どですが、中にはアメリカと表記されていることがあります。
これは、アメリカに渡った後に改良されて今の形が出来上がったことや、1930年にアメリカンケンネルクラブに登録されたことなどが理由として考えられます。
体高50~60cm、体重12~27kgの中型犬で、そり引きの犬としては小型ですが、そのぶん俊敏で活発です。 日本では1980年代に流行った犬種ですが、飼育頭数が増えると同時に放棄される犬も増え問題になりました。
現代では犬ぞりレースで活躍する以外に、再び家庭犬としての人気も高まっています。
シベリアンハスキーの性格
シベリアンハスキーは陽気で温厚な性格をしており、子供や他の犬とも仲良くできます。 独立心の強い一面がありますが、飼い主に従順で仕事を与えると生き生きします。 また、楽天的でいたずら好きな一面もあります。
まれにオオカミのような遠吠えをすることがありますが、仲間を呼びかけるこの犬種ならではの習性であり、無駄吠えとは別物です。
ちなみに、遠吠えの声がしわがれているために「ハスキー」の名がついたそうです。
シベリアンハスキーの毛質、毛色
シベリアの極寒に耐えられるよう、フサフサのダブルコートです。毛が生え替わる換毛期には大量の毛が抜け落ちるので、ブラッシングでのお手入れが必要です。
また、暑さに弱いため、夏だけサマーカットを施す飼い主も多いです。
毛色はピュアホワイト、レッド、ブラックなど非常に多彩です。
同様に目の色も豊富で、両目の色が異なるオッドアイもいます。
シベリアンハスキーの魅力
強面な顔をしていますが、実は楽天的でフレンドリー。人も犬も付き合いやすい犬種であるといえます。
勇敢でタフな犬種
ワーキングドッグの歴史をもつシベリアンハスキーは、体力と持久力の高い犬種です。 1925年、アラスカでジフテリアが流行した際、犬ぞりチームが約1000kmもの道程を走って血清を届けたといいます。
それ以来、南極や北極の探検隊に同行するなど活躍の場を大きく広げていきました。
シベリアンハスキーの知名度を一気に押し上げたこのエピソードは、この犬種を語る上で欠かせない歴史の1つです。
強面だけど番犬には向いていない
般若のような顔と例えられることも多いシベリアンハスキー。
この顔で玄関の前に座っていたら、少し怯んでしまうかもしれません。 しかし実際は無駄吠えも少なく、誰にでも懐いてしまうため、番犬には不向きだとされています。
人が好きで、出会った人に突然飛びついてしまうことも。 また、元々群れで作業していた犬ですので、1人にされると仲間を呼ぼうとして遠吠えをすることがあります。
飛びつきや遠吠えは問題視されやすいですが、犬にとっては好意や寂しさを表しているだけで、悪気は一切ありません。
とはいえ、近所トラブルに発展しないような対策が必要です。
運動なら何でも得意
シベリアンハスキーは体を動かすことを得意とするため、スポーツ万能です。一緒にジョギングをしたり、サイクリングのお供、ドッグアジリティなどなど、さまざまな運動を楽しむことができます。
犬ぞりはもちろん、物を引いて走る遊びを取り入れると喜びますよ。 体を動かすことが好きな方にはぴったりの犬種です。
シベリアンハスキーの価格
シベリアンハスキーの価格はだいたい15~30万が相場になっています。 毛色はホワイト&シルバーが主流で、レアカラーは高値がつきやすい傾向にあります。
子犬を選ぶ際には、活発で元気であるか、健康に問題がないかをチェックしましょう。
シベリアンハスキーがかかりやすい病気
犬も人間と同じように病気になりますが、いち早く異変に気づくことができれば、早期に対処が可能です。
どんな病気なのかを調べることも大切ですが、「便がゆるい」「皮膚が赤くなっている」など、いつもとは違う変化を見逃さないことが先決です。
膝蓋骨脱臼
後ろ足の膝蓋骨(膝の皿)が正常な位置から外れ、脱臼する病気です。脱臼した足を庇うような歩き方をするため、異常はすぐに発見できます。
自然と治るものから、何度も脱臼を繰り返すものまで症状はさまざまですが、放置しておくと関節が固まり、膝が動かなくなることもあるので要注意です。
脂漏症
シベリアンハスキーは分厚い被毛を持っているため、皮膚炎にかかることがあります。その中で最も多く見られるのが脂漏性皮膚炎です。
脂漏症はマラセチアや、アレルギー、ホルモン異常などが原因で起こり、フケや脱毛、被毛のべたつき、発疹などがみられます。
ブラッシングをするついでに皮膚の状態を見て、異常がないかをチェックしましょう。
外耳炎
垂れ耳の犬種に多いとされる耳の病気ですが、脂漏体質の犬種も発症しやすいので要注意です。外耳炎は外耳道に繁殖した細菌や酵母などが原因で起こり、痒みや悪臭がするようになります。
外耳炎の予防は定期的な耳掃除をすることですが、誤った方法で行うと外耳を傷つけてしまう恐れもあるため、慎重に行いましょう。
甲状腺機能障害
甲状腺で産生または分泌されるホルモンの欠乏によって起こります。 低体温や無気力、倦怠、元気消失、体重の増加、しっぽの脱毛(ラットテール)など、さまざまな症状が確認できます。
少しでも異変を感じたら動物病院へ連れていきましょう。
白内障
目の水晶体が白く濁り、視力障害が起こります。症状が進行すると失明し、物にぶつかりやすくなったり、歩行にふらつきがみられるようになります。
犬は耳と鼻が良いため、視力が低下しても生活に支障はないとされていますが、生活スペースの中で障害物になるものを整理し、犬が過ごしやすいように環境を整える必要があります。
シベリアンハスキーを飼う上での注意点
シベリアンハスキーは人懐こく大人しい性格ですが、しつけがしやすい犬とは言い難いところがあります。
また、引く力が強いために散歩時にも注意が必要です。 ここではシベリアンハスキーを飼う上で、気をつけていただきたい注意点をまとめました。
子犬の頃からトレーニングを
シベリアンハスキーは遠吠えや飛びつき癖が出てしまうことがあるため、子犬からトレーニングを必要とします。
物覚えは良いのですが、集中力に欠けるところと頑固な面が見られるので、言うことを聞かない時もあるかもしれません。
しつけにはある程度時間がかかるものとして、根気強く続けていかなければなりません。
どうしてもしつけが上手くいかない時は専門家に相談したり、しつけ教室に通うことも検討しましょう。
たくさんの運動と脱走防止に努める
運動不足がストレスになり、無駄吠えやいたずらなどの問題行動に出る可能性があるため、たっぷり運動させてあげましょう。
1回60分の運動を朝夕行うのが理想です。ソリやタイヤなどを引かせるのも良いと思います。
しかしリードを外して自由に運動させてしまうと、脱走して迷子になることがありますので、なるべくリードは装着したままで、犬からは目を離さないようにしましょう。
まとめ
シベリアンハスキーが流行していた当時、飼い主の知識やマナーが足りず、捨てられてしまう子が多くいました。
その背景には「しつけを覚えない」「無駄吠えをする」といった理由がありましたが、実際は飼い主が犬種の特性や習性を理解していなかったことが問題です。
シベリアンハスキーはしつけに時間がかかったり、沢山の運動量を必要とすることから、どんな人にでも向いているとは言えない犬種ですが、立派な家庭犬になれる素質を持っています。
シベリアンハスキーを飼おうと考えている方は、これらの情報を参考にして、今一度飼えるかどうか検討してみてください。