消費者金融(カードローン・キャッシング)の利用者が1000万人、すなわち国民の10人に1人が利用しているという現実について なぜこんなに利用者が増えたか考察してみる

先日公開させていただいた記事が、おかげ様でかなりの数の人に読んでもらうことが出来た。

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はてぶにて非常に多くのコメントをいただいたのだが、実にたくさんであったことやメンタル面などもあってまだ全部は見ていないのだが、中でも消費者金融についてのコメントがざっと見た感じ多かったような気がする。

消費者金融(カードローン・キャッシング)の利用者が1000万人をこえている

ケタが一つ違うんじゃないかと思うぐらいだが、実際に統計上では現在も1000万人を越える人が消費者金融を利用している。

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画像引用元:各種統計データ |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関

 こちらはJICC(日本信用情報機構)と呼ばれる業者のデータなので、信頼性が非常に高いデータとなっている。

少しわき道にそれるが、消費者金融を利用する際には必ず信用情報機関を通さないと借りられないため、この情報は確かだ。むしろ、闇金の利用者を考えれば実際にはもっと多くの人が利用していることだろう。

この数字は「最低」でも1000万人をこえているということであって、正規のルートでは借りられない人もいるが、それでもお金が必要な人がいるということも念頭に置く必要はあるだろう。

データによれば一人当たり平均60万円(1契約あたり50万円)ほどかりているということだ。

登録人数よりも登録件数が多いのは複数の金融機関から借りている人がいるということだろう。

さらに過去に利用した人が1800万人ということなので、だいたいこくみんの6人に1人ぐらいが消費者金融を利用した計算になる。

銀行のカードローン・キャッシングも実質消費者金融のサービスと変わらない

別記事でも注意書きさせていただいたが、この登録人数は消費者金融だけではなく銀行カードローンも含むと思われる。だから消費者金融の利用者が1000万人以上じゃない!ということになりそうだが、話はそう簡単ではない。

銀行のカードローンも実質的には消費者金融が運営しているということが非常に多いのだ。

例えば三菱東京銀行カードローン「バンクイック」について見てみよう。

2019年6月現在では利用限度額:500万円、金利は実質年率で1.8%~14.6%となっていて、以下がサービスの概要だ。

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引用元:カードローン「バンクイック」:商品詳細 | 三菱UFJ銀行

注目して欲しいのは「保証会社(アコム(株))」という部分だ。

保証会社というのはどのようなものかご存知だろうか?

銀行は伝統的に小口の融資、それも無担保融資が苦手だ。

1970年代、実は銀行もキャッシング事業に参入したことがあったのだが、大惨敗したという過去がある。結局与信能力を見極められなくて貸与した資金が回収できなかったのだ。

そこから数十年して、銀行は各消費者金融大手を買収し、傘下に収めることに成功した。アコムはご存知のように三菱グループの一員となり、テレビCMなどもバンバン流せるようになったわけだが、同時にその与信審査能力をも手中におさめることに成功したのだ。

で、保証会社の話に戻るが、保証会社というのは銀行に代わってカードローン(キャッシング)の審査をする会社のことを言う。審査だけではなく、仮に借主が返済できなくなったら代わりに銀行側に代位弁済する義務も負う。その代わり利子の中から何%かを保証料としてもらうという図式だ。

色々書いてきたが、結局看板だけは銀行だが中身は消費者金融なのである。

だから今回は銀行カードローンも消費者金融のカードローンも消費者金融、あるいはカードローン、あるいはキャッシングとして表記したいと思う。

ちなみに一番多いのはクレジットカードのキャッシング

余談に近いのだが、全国銀行協会の調査によるとキャッシング利用で一番多いのがクレジットカード会社のキャッシングで、二番目が銀行カードローン、三番目が消費者金融となっている。

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引用元:https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news300118.pdf

これは、わざわざ銀行や消費者金融をりようするよりもクレジットカードのキャッシングを利用するのが手軽であるということなのだろう。

さらにイメージの問題もあって、消費者金融はできるだけ利用したくないという心理があるのだと思われる。

なお金利だけで考えると、大体クレジットカードのキャッシングは上限が18%となっており、銀行のカードローンよりも高く、消費者金融と大体同じぐらいの水準になっている。

そもそも何のためにカードローンを利用するのか? 

こちらに関しても全国銀行協会のレポートに詳細なデータが載せられていた。

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幾つかの項目に分けられているが、以下の項目が特に興味深い。

日常的な支出増加を補うため:16%
所得が減少したため:10%
給与・ボーナスの一時的な資金不足を補うため:13%

これらは純粋にお金が足りなくなったから借りた訳であり、他の小さな項目を合わせると約64%ほどとなる。

特に冠婚葬祭関係が15%にも上るのは特徴的だと言える。

レジャーを楽しむためやギャンブルなどの出費系も多く、こちらも合計すると30%ほどとなり、自己啓発なども合わせると大体34%となるので、7割弱ほどがどうしても必要でお金を借りているということが分かる。

そんなの当たり前じゃないかと思うかも知れないが、30%以上は必要に迫られている訳ではないということも大きな特徴で、実はお金に余裕のある高所得者なんかもカードローンをよく利用していたりする。

またこんなデータもある。

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支出が増えた項目の中で、クレジットカードの引き落としが増えたという結果だ。

これもなかなか特徴的で、収入以上の支出をしてしまったためにカードローンやキャッシングを利用せざるを得なかったという状況も見えてくる。

さらに、これは個人的に思うことだが、リボ払いなどにして思わず出費が増えてしまったこともあるのだろう。頻繁にクレジット会社からリボ払いを勧める電話がかかってくるというのは私だけではないはずだ。

これは完全にクレジット会社がリボ払いにさせて利ザヤを稼ごうとする行為である。

利用者が増えた背景を考えてみる

 純粋に出費は増えたのに収入が減ったからである。

どうしてそうなったかは冒頭で紹介させてもらった別記事に詳しい。

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 平均してみた時に、この30年で国民の平均収入は1.05倍になったのに対し、物価は1.5倍、社会保障料も1.5倍、さらに消費税が0%から8%になり、IT関連の通信費などが増大した。

簡単に言えば収入は増えてないのに出費は増え続けたのだ。

人間と言うのは生活のレベルを中々落とせないし、出費を削るのは大変だ。

偉そうなこと言っている俺だって家賃を下げたいと思っているが引越しにかかる費用を考えると家賃を二万円以上下げても黒字になるのが引っ越してから15ヶ月ほどになるということを考えて結局引っ越すのを辞めたぐらいだ。色々なことは削れない。例えば住宅ローンなんて大変だ。どんなに給料が下がり、土地の値段が下がっても払う額は変わらない。いざ家を売ろうと思っても買った時より値下がっているので売れないという人も多いだろう。

先ほどのデータによれば25%は支出の増大によるものであり、その状態でカードローンを利用したら支払いでさらに苦しくなってしまう。

 中にはさらに借入をしてしまって多重債務者になる人もいるだろうし、ボーナスなどで返せる人もいるだろう。

 JICCのデータによれば平均利用件数は1.5なので、結構な数の人が複数借入をしている計算になる。

消費者金融は減り、銀行のカードローン利用は増えた

貸金業法と言われる法律が改正されたことにより、消費者金融などの貸金業者の数は大幅に減少した。

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引用元:https://www.fsa.go.jp/status/kasikin/20180426/01.pdf

それと連動するように増えたのが銀行のカードローンだと言える。

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引用元:https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20180822/02.pdf

このような事態になった理由は明白に法律が変わったからで、消費者金融などの貸金業者は改正された貸金業法により年収の3分の1以上を貸し付けできないとする総量規制が追加された。

それにより、すでにカードローンを利用している人と専業主婦が利用できなくなったことで、そういった人たちが銀行のカードローンに流れたというのが理由だと思っています。

なぜそのようなことになるかというと、貸金業者が貸金業法に縛られるのにたいし、銀行カードローンを縛るのは銀行法であるため、銀行カードローンは総量規制の対象外となっており、また配偶者に年収があれば専業主婦でも借りられていたというのが実際の所だった訳で、総合すると消費者金融の利用者は減っていたのに銀行のカードローンの利用者は増え、しかもその実態は消費者金融であるという事態になったのが今の状態だと言えるわけだ。

 カードローンとCMの話

2012年度から銀行カードローンの利用者が増えたもう一つの理由はテレビCMの本数とも関係あるだろう。

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引用元:https://www.asahi.com/articles/ASK5F5535K5FULFA00C.html

 テレビCMの本数と借入残高の数字は綺麗に連動している。

これはある種のイメージアップが成功した事例であると言え、テレビでCMを流しているから信用ができる、という心理がお金の借りやすさにもつながったのだろう。

技術の進歩とインフラ面での進歩

現在では大手消費者金融の借入も銀行で出来、インターネットを利用しての借入も可能になってきた。カードレスに対応したサービスも増えてきており、つまり人に会わないでもカードローンやキャッシングの利用が可能になったのだ。

このように技術的なインフラ面での進歩のため借入までの心理的ハードルがさらに下がり、より借りやすくなったと言える。

情報の一元化によりさらに借りやすくなった

ある意味利用者がここまで増えた最大の理由はここにあるかも知れない。

先ほども述べた法律の改正によって、信用情報機関に借入の情報が集約されるようになった。具体的にはJICCとCICという二つの業者を通さなければキャッシングは利用できなくなり、情報の一元化が可能になったことによって、キャッシングまでのスピードが飛躍的にあがったのだ。

というのも以前は信用情報機関が乱立しており、金融機関側が信用情報の照会に時間がかかっていたのだが、現在は即座に情報が共有されるようになった。

そのため即日融資も可能な金融機関が増え、すぐにお金が借りたいというニーズにも対応できるようになった結果、手軽に利用できるようになったのも利用者増加の原因だと言えるだろう。

銀行側がカードローンを推進したい理由

根本的な原因は実は国の借金にある。

政府の借金は1000兆円という話があるが、では一体誰から借金しているのか?

答えは自国民である。

もう少し具体的に言うと、日本銀行と日本にある銀行が大半の日本国債を買っている。

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引用元:https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

日本国債の利率は0.1%から0.5%の間。

ちなみにアメリカ国債は2%から3%の間ほど。

まともな組織なら購入しない利率だが、日本国債には買い手がつく。

だが、銀行側は国債の購入によって利益が出ない。不動産ローンや自動車ローンも低金利で利益が出にくくなっている。

そんな中、カードローンの高金利は各銀行にとって高収益をあげられるキラーコンテンツだったのだ。

カードローン利用者の増加の原因は、政府による超低金利政策と国の借金にもあったということになる。

こうした問題の背景には、多くの銀行がカードローンを収益の柱に据えざるを得ない状況がある。その理由の一つが、マイナス金利に象徴される超低金利政策だ。銀行収益の1つの柱だった国債の運用益は、利回りの低下で大きく落ち込んでいる。企業への融資も、資金需要が低迷している上、金利が低く、利ざやがほとんど稼げない。その結果、高い利ざやが稼げるカードローンが急拡大している。銀行の決算などからカードローンが収益に占める割合を試算すると、ある大手の銀行では収益の半分、別の地方銀行では2割を占めている。

 引用元:誰にとっての“安心”? 銀行カードローンの裏事情 - 記事 - NHK クローズアップ現代+

国の借金が個人の借金を促すなんて、まるでイソップ童話並みの皮肉である。

銀行カードローンにはようやく規制が入った

2018年、さすがの金融庁も重い腰を上げ、銀行カードローンに対して借入の規制を呼びかけました。

きっかけは日弁連による意見書が金融庁に提出されたことで、これにより金融庁は本格的な調査に乗り出すことになった。

参照:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai08/siryou6.pdf

その後金融庁が各銀行に対して「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等を出し、銀行はカードローンのCM出稿などを自粛し、過剰な貸し付けを抑える方向に進むようになったのが去年の話。

参照:https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news290336.pdf

金融庁がこのような勧告を行った背景には自己破産者が増えたことがあるのだろう。

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引用元:https://www.asahi.com/articles/ASL2C33TCL2CULFA001.html

金融庁は財務省の子分のようなもので、経済を活性化させた経産省との間に軋轢があり、省益の確保のせめぎあいが行われているという話もある。

どちらにせよ、キャッシングやカードローンに対する締め付けが強化され、お金は借りにくくなったと言ってよいだろう。

さらに2018年より銀行カードローンを申し込む際には、銀行側は申込者を警察庁のデータベースに照らし合わせて反社会活動がないかどうかを調べるため、審査には時間がかかるようになった。

でもどこでお金を借りればよいのか?

銀行がカードローンの融資を辞めても根本的な問題解決にはならないと思う。なにせ7割の人間は必要だから借りている訳であって、貸付を規制しても根本的な問題にはなっておらず、そういう人たちはどこでお金を借りればいいのかという問題は解決していないのではないだろうか?

根本的な原因は結局収入が増えないこと

問題は結局ここに帰結する。

収入が増えず出費が増えれば負担が増えるのは当たり前で、こんな状態で消費税を増やすというのは正気の沙汰じゃない。

もはや国民は消費ができない状態だ。国は果たして景気を回復させる気はあるのだろうかと疑いたくなるものだ。

収入が増えなかった原因は複数あるだろう。それはそれでまた別記事で出したいと思うが、やはり技術競争で完璧に負けたからだと思う。

そもそもなぜ日本が世界第二位の経済大国になれたのか?

それは車やハイテク分野などの技術面で世界を凌駕したからである。

現在のハイテク分野の最先端はスマートフォンだ。

そのスマホの分野で低価格帯は台湾のASUS、今問題が取りざたされているけれどHUAWEIに、高価格帯はアップルの天下となっていて、日本企業の売りは真面目に防水と防塵しかなくなっている。後はかろうじてカメラの性能は良い。

ノートパソコンなどもスマホ技術の応用的な面があるので負けているし、台湾、中国企業はどんどん安くて性能が良くなってきている。半面日本企業は技術を追い求めないで、ソニーに代表されるようにブランドの強化などに走ってしまった。

これ以上は今回の主題とは大きくそれるからやめるけど、この状況が進めば小学生でもわかるほどの明確さで国が滅びてしまう。

ガラパゴス化した我が国の中で、借金をする人だけが増えている。

必要なのは、借金そのものを規制することではなくて、国民の大半が借金しなくても生活できる国造りだろうに。