アヴェンジャーズシリーズのラストであるエンドゲームを見てきた。公開当日の朝から見てきた。
前作の「インフィニティウォー」で人類の半分がサノスによって消されてしまったところから始まる映画の感想行ってみよう!
なおネタバレを含みまくるのでまだ見てない人は見てから読むことを推奨!
船頭多くして船山に上る
「アヴェンジャーズ エンドゲーム」を見てまず最初に抱いた率直な感想だ。
「アヴェンジャーズ」はある意味ファンの妄想を具現化して成功した映画だ。
主役級のキャラクター同士が共演したらどうなるか?
これは普通実現しない。
それは各映画によって世界観が異なるからと言うのが大きい。
例えばスターウォーズの世界にシャーロックホームズが出たら違和感しかないし、バックトゥザフューチャーにジョーカーは登場しない。
アヴェンジャーズはある意味なんでもありのお祭りで、魔法を使う奴もいれば神様もいれば強化人間もいる。それらの世界観をあらかじめそろえていたところに成功の要因があった訳だが、やはり主役級の人物が多すぎた。
最初のアヴェンジャーズに関しては主役級のキャラクターがまだそこに時間をさけるぐらいしかいなかった。
キャプテンアメリカ、アイアンマン、ハルク、ソー
ブラックウィンドウ達シールズはそれを補佐するという役目であったためにスーパーヒーローたちはそれぞれ活躍できたのだ。
それでも回を経るごとに主役級のキャラクターが増えて行った。
スパイダーマン、ブラックパンサー、ドクターストレンジ、アントマン、ガーディアンズオブギャラクシー、キャプテンマーベル
これらを平等に活躍させるのは難しい。
というより無理だった。
アヴェンジャーズ最終作であるエンドゲームでは、結局全員を活躍させることはできなかったのだろう。何人かは活躍したが全然活躍しなかったキャラクターも多い。
ハルクは暴れないしソーはビッグリボウスキの主人公みたいに太ってしまったしスパイダーマンとブラックパンサー、ドクターストレンジも活躍できなかった。
ガーディアンズオブギャラクシーの面々に至っては前作インフィニティウォー同様むしろ足を引っ張る存在になってしまった。
キャプテンマーベルは強すぎた。強すぎて逆に活躍できなかった。
逆にキャプテンアメリカとアイアンマンは活躍しすぎた。アヴェンジャーズ自体この2人が主役のようなものだから仕方がない面もあるんだけど、それでも第二次世界大戦時の強化人間が活躍しすぎだろう。ソーのような神様でさえ適わないサノスと戦えるのはどうにもこうにも。
アメリカイズナンバー1でなければ気が済まないんだろうけども…
エンドゲームはなぜ微妙な映画になってしまったのか?
いくつかの要因があると思う。
まずは先ほども書いたように主役が多すぎた。主役級が何人もいるので焦点が当てづらくなってしまい、割と無理やり活躍させようとして変なことになったキャラもいる。
次に「タイムトラベル」というある種禁断の果実に手を出してしまったことも大きい。
なんでもアリになりすぎると面白さは無くなるのだが、もうなんでもアリになりすぎた。
アヴェンジャーズの世界観とタイムトラベルはいくら何でも合わなすぎる。
特にキャプテンアメリカとアイアンマンまわりで色々おかしくなってしまって、ソウルストーンの犠牲になったブラックウィンドウが戻らないのはともかく、タイムトラベルができるならアイアンマンのことは助けられるだろうと。あるいはキャプテンアメリカが過去に行って帰ってこなかったということは、トニーの父親を助けられたのに助けなかったことになるし、バッキーを洗脳させたままにしていたのかも気になるし、やっぱり色々おかしなことになってしまう。
さらにそれに加えて、冒頭の方であれだけ強かったサノスがあっさりアヴェンジャーズにやられてしまうのもなんというか、拍子抜けというか。
それなのに最後の方は未来にタイムスリップしてきたサノスが再びラスボスになる訳だが、一度あっさり倒した相手が再びラスボスになるというのはなんというか…
サノス強いんだけどさ、一度倒している相手な訳でさ、どうしてもここで微妙な感じになってしまう。
そもそもなんでタイムスリップできるのかもよく分からないし、好きな時間に行けるのはまだ良いとしても、好きな場所にまで行けてしまうのはどういうことか。
見ている時は面白いんだけど、考えてみるとなんか違和感のある個所が多かったなぁという印象。
どうしてこうなった…な人たち
まずはハルク。ハルクは結局今回は全然暴れなかった。前回も暴れなかった。正直物足りなかった。ブルース、もう元の姿には戻れなさそうだし。それでもガントレット装着して人類を救ったからまだいい。
キャプテンマーベル。実は映画見ていないから何者なのかも分かっていないし、他のアヴェンジャーズも分かっていないようだし、それで終わった。いいとこ持って行ってそうに思えるけど結局ラスボスのサノスは倒していない。
ニック・ヒュリー。アヴェンジャーズを組織した男、ミスターアヴェンジャーズだが、セリフもないし1コマしか映ってない。本当にどうしてこうなった…
ソー。ただの肥満おやじになってしまってひたすらゲームしているだけの人間になってしまった。外面以上に内面が酷いことになってしまっており、結局最後までヒドイままだった…
クイル。全く何の活躍もしなかった。恐ろしいぐらいなにも。ガーディアンズオブギャラクシーは「俺が選んだ最高の映画100選」に入るぐらい面白かったのに!しかもサノスは第一作から因縁の深い相手であったし、クイルはなんだかんだ宇宙最強の一角(諸々含めて)な奴なのに、対サノス戦で活躍しなかったのは悲しすぎる。
純粋な疑問点を列挙してみる
- なぜアイアンマンをタイムトラベルで救わないのか?
- ソウルストーンは愛する者を犠牲にしないといけない訳で、ホークアイとナターシャって愛し合っていたんだっけ?
- 最後アイアンマンはどうして石をサノスから奪えたのか?
- ガモーラは過去も現在も含めてどうなったのか?
- ロキどうなった?
- ドクターストレンジはアイアンマンの行く末を知っていた?
- 過去のネヴィュラと現在のネヴィュラがシンクロしたのはなんで?
- キャプテンアメリカはずっとアヴェンジャーズの活躍を老人になって見ていたの?
- 過去に戻ったキャプテンアメリカはどうやって石をもとに戻したのか?特にソウルストーン
見終わってもよく分からない箇所を列挙したら結構な数になってしまった。
後々もっとたくさん出てきそう。
他の人の感想
ポリコレの問題
ポリティカルコレクトネスの問題はエンドゲームでも健在だ。
途中明らかにおかしなシーンがあって、多分見た人ならすぐにわかる問題だったと思う。
ちなみにポリコレというのは「性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用することを指す。 政治的妥当性ともいう。」問題のことで、映画においてはアジア人や黒人は出なければならないし、女性も活躍しなければならないということらしい。
それは別に良いのだが、問題なのはそれらを「無理矢理」入れていることで、スターウォーズなんかでも黒人とアジア人の見せ場を無理矢理入れて、それが本筋とは何も関係がないため、作品の価値を大いに下げてしまったということがあった。
エンドゲームではそこまでではなかったが、露骨な演出があったのは確かだ。
これはなかなか根が深い。
でも面白かったよ
散々文句を言っている形になってしまったけれど、見ていたら結構面白かったのも確か。
見ている間は最後のアイアンマンことトニー・スタークの死に泣けたし、ラストのキャプテンアメリカのシーンも良かった。初代キャプテンアメリカを見た身としては、ようやく約束が果たせたんだなと思うと感慨深いものがあった。ラストシーンに関してはこれ以上のシーンはきっとないだろうなというほど良かった。
ドクターストレンジが「1」を指で表したシーンは感動的であるとともにトニー・スタークの死も知っていただけに切なくなる。
場面場面で見れば、あるいは総合的に見ればすごく良い映画だった、というのが見終わった直後の感想。
問題なのは見終わってからで、さっきも上げたような疑問点などが次から次へと出てきてモヤモヤとして残ってしまった。
「タイムトラベルもの」は非常に難しく、エンドゲームを見てなにより思ったのが「バックトゥザフューチャー」の偉大さだ。
あの映画は本当にすごい映画だったんだなぁと改めて思う。アラはあってもそれをねじ伏せるのがある種の名作な訳なんだけど、個人的にはアラをどうしてもねじ伏せられなかったのが今作だったように思う。
エンドゲームは色々積み込み過ぎてちょっとよく分かんない感じになってしまった。見た人の感想は賛否両論になるんじゃないかなぁと思っている。自分の中でもよい部分と悪い部分が整理しきれてない。
俺の評価は、優良可不可の4段階なら可かなと思う。
細かいところを気にしなければすごく良い映画だったんだけど、細かいところが気になってしまう自分としてはどうしても・・・
いや、見ている時は面白かったんだけどね。
なんでもアリになりすぎて、壮大なテーマを扱いきれず、タイムトラベルも世界観に合ってないし、率直に言って色々残念だったなと思う。
結局最後まで実力ではサノスに敵わなかったし、アクションも少なかったしなぁ。
最終的に詰め込み過ぎた。物語の作成において重要なのは足し算でもかけ算でもなく引き算なのであると、エンドゲームを見ていて強く思った。