国民健康保険について調べたら想像以上に狂っていた件について

六月はとにかく気分が滅入る季節だ。

天気が不安定なこともあるが、多額の税金や社会保障料がとられる季節でもある。

今、目の前に「国民健康保険料通知書」がある。

高い…

今迄は高いなぁと思いながらもとりあえず支払っていたのだが、せっかくブログも始めたしここで国民健康保険について色々と調べてみたいと思う。

国民健康保険は支払額とサービスの質が一切相関しない稀有なサービス

住居について考えてみよう。

普通は家賃や購入価格が上がれば何かしらの面で部屋はパワーアップする。便利になるかもしれないし設備は良くなるかも知れないし部屋は広くなるかも知れない。家賃が増えるのにサービスの質が全く良くならなかったどうだろうか?

普通、支払額とサービスの質は比例する。それが良いか悪いかはとりあえず置いておこう。支払いが増えればサービスが良くなるのは何もおかしなことではなくむしろ常識だ。当たり前のことだ。

でも、税金と健康保険はそうはなっていない。

国民健康保険は支払った額が増えたところで何もいいことがない。多く払ったから空港のラウンジが使えるわけでもリゾートホテルに安く泊まれる訳でも国立美術館の入館料が割り引かれる訳でもない。

支払ったら支払っただけ純粋に損をするという稀有なサービスである。そう、国民健康は本来行政が提供するサービスなのである。だが国民健康保険は強制加入である。強制加入で決して質の改善を望めない国家によるサービスなのである。

自治体によって支払額が全然違うので公平性はまるでない~自治体によってどれくらい違うのか?~

国民健康保険の支払い先は各自治体である。なので同じぐらいの収入であっても支払う金額が全然違うのである。

試しにどれくらい違うのだろうというのを調べてみた。

とりあえず39歳までの独身、年収400万で計算してみる。

神戸市:約54万円

東京都大島町:約15万円

こんなに違うのかよ!!!

これは流石にビックリした。自治体によって違うという話は聞いていたが、ここまで違うとは思っていなかった。3倍以上というのは凄いな。

ちなみに計算はこちらのサイトを利用した。

これはあくまで単身者の話なので、家族が増えれば負担も増える。同条件で神戸市に住んでいる4人家族(専業主婦&子供2人)なら保険料は年間で約63万円になるそうだ。国民健康保険だけで課税収入の15%ほどの負担になる計算だが、これはかなりキツイ。

40歳を過ぎればここに「介護分」が加わるので同条件でも約75万円の支払額となり、課税所得の20%弱が負担となる訳だ。健康保険だけで!

ちなみに地域によってどらくらいの差があるかはご丁寧に厚生労働省がまとめてくださっているので興味がある方はご覧になられるといい。

参照:市町村国民健康保険における保険料の地域差分析 |厚生労働省

累進課税とも違う

この国の税制度は累進課税制を採用しているので金持ちほど税金を沢山取られる。それに嫌気がさす人も多いだろうが、それによって貧富の差は生まれにくかったのも確かだ。

国民健康保険は所得に応じて高くなる仕組みだが、上限額(賦課限度額)が決められているので年収でいうと200万から800万ぐらいの収入の人の負担割合が大きくなる。

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引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000399750.pdf

先の例(神戸市で40歳以上家族四人)で行くと、年収400万だと先述したように年に約75万、年収1000万になったとしても年に77万円の支払い額となる。

サラリと書いたが、書いた俺は今めっちゃビビってる。年収400万でも年収1000万円でもあんまり支払額変わらないのというのは衝撃的だ。

この点も自治体によって大きく変わるようで、同じ条件で東京都大島町で計算したら年収400万だと約25万、年収1000万だと約52万、年収2000万でも約65万という計算がでてきた。

さすがにそれは大島町というところだけだろうと思って比較的メジャーな国立市で調べたら同条件で年収1000万なら約64万であるということだ。

この計算は本当にあっているんだろうか?

神戸市で年収400万の人と国立市で年収1000万の人が大体同じくらいの健康保険料を払っているということか…

この辺りは上記のツールに数字を入れただけなので詳しい人がいたら計算しなおしてほしいレベルで狂っている。でも他のサイトで見ても多い自治体と少ない自治体で同じ所得でも大体3倍ぐらいの差があるので事実なのだろう。

ちなみに日本で一番健康保険料が高い自治体は広島県の広島市であるらしい。

支援分ってなんだよ!もう老人を支え続けるのは限界だよ…

もうすでに俺はグロッキー状態なのだが、今回改めて支払いの項目についてよく見ると「医療分」と「支援分」に分かれていて、さらに40歳を超すと「介護分」も払わなければならない。

正直に言う、何回も国民健康保険を払ってきたけれど支払いについてよく見ていなかった。

一体「支援分」ってなんだ?

支援金分保険料とは、後期高齢者医療制度を支援する財源の一部となるものです。国保加入者に限らず、各医療保険の加入者全員に計算されるものです。

引用元:国民健康保険料の計算方法(平成31年度)|葛飾区公式サイト

つまり簡単に言えば皆で老人様を支援しようぜ!という制度で、ノリとしては高校野球の応援に行こうぜ!ぐらいな感じだが、問題なのは支援する気があろうがなかろうが支払いは強制的というところだろう。

すまない、これは一体いつからあったのかわからない。この辺りについてはまた後で詳しく調べる。

この記事は色々調べながら書いているのだが、書けば書くほど頭がクラクラしてくる事実ばかりが突きつけられる。

先日このような記事を書いた。

www.myworldhistoryblog.com

我々国民の負担が増えればそれだけ可処分所得は減り、消費活動は控えめになる。物が売れなくなるので企業は設備投資などを控えるようになるし、消費者も安さを求めるので技術やコストで勝る輸入品を益々求めるようになるだろう。そして税収も減るのでこれは政策として逆効果だと思う。

先ほどの少し触れたが40歳を超えるとここに「介護分」が加わる。こちらはもはや読んで字の如くだ。

日本と言う国において、確定的に子供は減り、老人は増える。

国民健康保険において一番恐ろしいのはこの点で、つまり確実に破綻が見えているのである。これから状況が改善されることはなく、悪化しかしていかない恐ろしい制度なのだ…

国民健康保険は誰が入っているのか?そしてなぜ高いのか?

 「自営業」と言いたいところだが、「公務員」と「会社員」以外とするのが正しいように思う。

失業された方や定年で退職された方もここに含むので、つまり財源が全然足りない。

なのでとりあえず取れるところはとれるだけとろうぜ!というシステムになっている。

厚生労働省が公表しているデータを見てみたが、案の定財源は全然足りていないので公費、すなわち税金がかなりの額投入されている。

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 引用元:https://www.mhlw.go.jp/topics/2019/01/dl/14_hokenkyoku-01.pdf

この国が1000兆とかいう意味不明な額の借入をしているのは有名な話だが、支出の多くが「社会保障費用」だ。

国民の負担も国そのものの負担も社会保障費用が大きい。

正直、税金だけなら日本はそこまで高くない。いや、住民税10%に所得税もあるから安くはないけれども、世界的に見たらそこまで高いという訳でもないし、支払えない額でもないし経済成長を阻害している訳でもない。

結局のところ、日本が成長しない大きな要因が内需の拡大が出来なかったところにもある訳で、それは可処分所得が少なくなっているという面はあると思う。

昔からこんなに高かったっけ?

俺は数年前まで会社員だったので、昔からこんなに高かったのかどうかよくわからないし、所得も毎年変わるので昔と比べて高くなったのかどうかよくわからなかった。ので、今回は国民健康保険料の推移について見て行こうと思う。

厚生労働書によれば、国民健康保険料の賦課課税額は以下のようになっている。

 

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引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000399750.pdf

特に平成20年度からの限度額引き上げ具合は酷く、わずか30年足らずで実質的な上限額は約2倍近くになっている。

別記事でも書いたがこの間国民の平均所得は1.05倍になった程度である。簡単に言えば負担だけが倍になっているという訳だ。

社会保険との比較

一方サラリーマンが入る社会保険もかなり値上がっている。

全国健康保険協会によれば、昭和22年には3%台だった健康保険料率が平成24年度には10%にまで上がっており、さらに介護分が加わるので実質的には12%、つまりは約3倍になった。

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引用元:保険料率の変遷 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

国民健康保険同様平成5年度から見ると8.4%から10(+1.55%)となるので約1.4倍ほど負担が増えている計算になる。 

会社員の場合は会社と折半であるとはいえ、これはこれで辛い。

ちなみに社会保険は国民健康保険と違って「扶養」という概念があるので家族が増えても保険料が上がるということはない。

どっちがいいかで言えば、選べるなら社会保険>>>>>>>>>国民健康保険ぐらいの差がある。

自営業だとかフリーランスだとかは税制度や社会保障制度についてはちっともよくない。失業保険もあるし会社員最高である。

ちなみに俺は退職したその日に開業届けを出したから失業保険1円ももらってないけどな(;ω;)

外国の健康保険制度について調べてみた

有名なのはアメリカで、日本とは違って全員が健康保険に入っている訳ではない。

国民の1割ほどが健康保険に未加入状態であるとのことだ。

参照:https://www.jccg.org/nowhow/28-healthcare/97-insurance

アメリカではそのため医療費が払えなくて破産するケースもあり社会問題になっている。日本人が旅行に行く際には海外旅行保険付きクレジットカードの利用が必須で、一週間入院したら100万円請求したという事例もある。

ヒラリー・クリントンは日本のような国民皆保険制を目指したが、富裕層の反対にあって結局実現しなかった。アメリカは良くも悪くも自己責任社会なので、富裕層向けの保険などが多く、そういった人たちにとって国民皆保険制度は不要なのである。

参照:医療保険制度改革 (アメリカ) - Wikipedia

このことからもわかるようにそもそも健康保険とは医療費を安く支払えるようにする弱者救済制度であったはずであり、弱者に負担を強いるような制度ではなかったのだ。

イギリスには「NHS」と呼ばれる国民保険サービスがあり、国家予算の約25%が投入されているという。当初は日本のように保険料で賄っていたが、イギリスの財政状況悪化とともに今では自己負担がかかる地域もでてきたものの、基本的に診療費は無料、薬代だけかかるというサービスとなっている。医療サービスの満足度は高い物の地域差があり、その点に対する不満な点は多いということだ。

NHSの財源は80%が一般税収、国民保険が18%、受益者負担が1.2%ほどになるという。良くも悪くも税収によって変わるため、過去イギリスでは税収が悪化しすぎて医療従事者に対する給与問題などが起きたこともあるという。

参照:国民保健サービス - Wikipedia

ドイツも日本同様健康保険は強制加入で、基本的に月収の約15%で負担割合は使用者が5割ほど、所得が下がるほどその割合は下がっていくという。

参照:法定健康保険とプライベート健康保険 - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト

フランスも日本やドイツと同様健康保険へは強制加入で、自己負担は3割ほど。日本の制度とかなり近い模様。

参照:フランスの医療 - Wikipedia

厚生労働省はこの辺りを健康保険制度の3つのタイプとし、イギリスを「国営型」アメリカを「民間保険システム型」日本やドイツ、フランスを「社会保険システム」と定義している。

 参照:https://www.hws-kyokai.or.jp/images/book/chiikiiryo-2.pdf

負担が毎年のように増えていくのは狂っているが、制度そのものが狂っている訳でもなく、財源の確保などが出来ていないのに制度を維持している政治や行政が狂っているのだということが各国の状況を見ているとよく分かる。

国民健康保険まとめ

 日本の現状だけを考えると国民健康保険のシステムは既に破綻しており、悪化する未来しか見えず、負担が大きすぎるのは確かだ。社会保険における公的負担は10兆を超え、そしてこれからもさらに増えることが予想される。我々の負担も上がることだろう。

だが、社会保障に関しては世界のどの国でも問題をはらんでいる制度で、先進諸国家を見ても一長一短だと言える。

払うの嫌ならじゃあ全部医療費は自分で負担しろ!ってことにもなるので、結局それはそれで困る訳だが、選択肢はない上に年々額がシレッと上がっていくのも辛い。国民の所得が全然上がっていないのに負担だけが急増していくのは本当に狂った状態だと言える。どう考えても現状維持は無理であろう。

 国民健康保険に関しては賦課上限額も決まっているので、唯一の対策法派アホみたいに稼ぎまくるしかなさそうだ。少なくとも今は。

もっとも、稼いだら稼いだで今度は税金の負担が増えていくという無間地獄な訳だが…

そしてこんな状態で消費税まで2%上がって10%になるという。政府はそれで本当に景気回復が可能だと考えているのだろうか?

多分そうならないことは分かっているが、現状目先の金がないのだろう。完全に狂ってしまっている訳だ。