クレジットカードの発行枚数は300000000枚を超えており、平均すると1人3枚程のクレジットカードを持っている計算になります。
それでもクレジット会社は会員数を増やすべく販促行動をテレビCMなどを始め積極的に行っています。 それはなぜなのでしょうか?
稼働率は半分もない
稼働率という言葉を聞きなれない方も多いと思いますが、1年間でそのクレジットカードが1回でも使われれば稼働したことになり、稼働したと認識されます。
仮に半分の50%でも稼働したらそのカードは大変優秀な稼働率だと言うことができ、カードによっては20%ぐらいということもザラです。
全く使用していないカードをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
稼働していないカードにも、システムの維持費などのコストがかかっており、年会費1000円ぐらいの徴収ですと赤字になってしまうと言われています。
年会費無料のカードも増えている昨今、稼働率の低いクレジットカードはむしろマイナスにもなってしまっているのです。
そういったカードは利用者が解約をする場合も多く、毎年一定の数脱会者が出ることを計算しなければなりません。
ですので、脱会者を上回る新規入会者がいなければ、会員数そのものが少なくなってしまい、規模のメリットを享受することができなくなってしまうのです。
規模のメリット
大手のクレジットカードなどは、2000万を超える会員数を誇っています。
クレジットカードの基本的な収益構造は、会員がショッピングやキャッシングを使用することで加盟店から手数料を徴収すること及びキャッシングの金利を得ることによります。
そのため会員数は多ければ多い程よく、規模のメリットが大きいビジネスモデルと言えるのです。
貸金業法によって収益構造が大きく変わった
貸金業法は2006年度に改正され、暫時その施行がされてきた法律です。
貸金業法の対象となるのは主に3業種で、それぞれ消費者金融、信販会社、クレジットカード会社となります。
銀行などは銀行法の対象になるためこの法律の対象にはなりませんし、ややこしいですがクレジットカードのキャッシング部分は同法の規制を受けるのに対してショッピング枠については規制の対象にはなりません。
貸金業法の何がクレジットカードの収益構造を変えたかと言うと「総量規制」に関する規定です。
総量規制というのは、年収の3分の1を超える貸し付けを貸金業者にしてはならないという規定で、実はキャッシング頼みだったクレジットカードの収益構造に大打撃を与えました。
キャッシングというと消費者金融のイメージが強いと思いますが、クレジットカードのキャッシングも同様の仕組みになっています。
その結果、元来の手数料や金利の徴収といったビジネスモデルに回帰するためにも、稼働率の高いクレジットカードの会員数を増やす必要があるのです。
そのために現在、顧客データに基づいた販売促進をするデータマイニングなどの情報システムの運営や、ゴールドカードや女性専用カードなど、特定そうに絞った顧客別セグメントなど稼働率を如何に向上させるかという点に力を入れている訳です。
そういった活動を支える為にも、母体となるカード会員の数を減らす訳にはいきません。 一方で稼働率の低いカードを解約させながら、もう一方ではカードの稼働率を上げる。
一見矛盾するような構造ですが、ある意味降りることのできないラットレースのようなビジネスモデルとなっているのが現状です。