以前から評判の高かったロバート・デニーロ&アル・パチーノ、ダブル主演の映画「ヒート」をようやく見た。
アマゾンプライムってやっぱコスパのいいサービスだよなぁ。
合わせ鏡のような演技合戦
別の記事でも語ったが、ロバートデニーロとアルパチーノが出ていた「ゴッドファーザーpart2」は映画史上でもベスト10には入るほどの名作だ。
ゴッドファーザーでは若き日のドン・コルレオーネをロバート・デニーロが、元ゴッドファーザーでもある息子のマイケル・コルレオーネをアル・パチーノが見事に演じていた。
ただしその時共演はなかったので、このヒートでの共演が初となる。
中盤、二人が向き合って語り合うシーンがあったのだが、やはり良かった。
二人とも画面に映っているだけで映える。ハリウッド歴代5本の指に入るであろう名優の競演にふさわしいものであった。
ゴッドファーザーの時でもそうだったが、二人が合わせ鏡のような人物たちを見事に演じ切っていたと思う。
ロバート・デニーロは天才的な犯罪者で、完璧な犯罪をするがその代わり家族や愛する者を持たない。でもどこかでそういった愛すべき者を求めている。
アル・パチーノは狂気的な刑事で、仕事に熱中しすぎて二度離婚していて、今三度目の離婚の危機に陥っている。
対照的だがどこか似ている二人だと言え、そういったそれぞれのキャラクターの内面をセリフ以上に演義で表現しているのは見事と言わざるを得ない。
愛すべき者のそばにはいられない
デニーロの役もパチーノの役も、結局は愛すべき人たちのそばにはいられない役どころだった。
ハリウッド映画は愛こそ全てなところもあるのだが、この映画では全然そうはならず、どちらも愛情よりも別な何かをとった形になった。その何かってなんだろう?生きざまとか美学とか、そういった者なんだろうなぁと思う。
構成の妙もあるが、デニーロが最期に裏切り者を始末しようとしなければ恋人と二人で高飛びが成功していただろうに。不思議なのは許されざる犯罪者であるデニーロに、いつのまにか肩入れしたくなるようになっていることだ。見ているとそのまま高飛びに成功して欲しくなる。
だが、悪は裁かれねばならない。
それは物語の鉄則だ。
悲しいほどに現実では悪が裁かれない。
薬物を使った芸能人はいつも逮捕されているが、その元締めが捕まったというような話はあまり聞かない。ただ報道されないだけかも知れないが。
あるいは過労死者を出すような会社の社長が国会議員になっていたりする。
物語というのは現実のアンチテーゼでならなければならないとも思う。
良い結末を迎えられるのは、正しい者が報われるのは物語の特権だ。
だからヒートのラストもあれでよかったのだと思う。
あれ以上ない終わり方だ。
今年中にはやりたいと思っている、「続おすすめ映画ベスト200」という記事にはこの映画の存在は外せない。